皮膚科医だからこそ見えているものかゆみに正しく理解してほしいもの

皮膚科医の基本は、患者さんの訴えを間き、皮膚症状をよく観察して、診断することです。目で見ることがすべてといっても過言ではないと思います。患者さんと同じものを見ているわけですが、同じように見ているわけではないのです。皮膚科医は治療するために症状の要因を読み解こうとします。「こんな症状になったのは、いったいなにをしてきたからだろう」と推測することも必要です。目で見えていたいものを見えるようにするのが、皮膚科医の務めだと考えています。
私は、皮膚心身症を専門とする心療皮膚科医です。みたさん、心身症という言葉を知っていても、神経症と混同されたり、心の病と誤解されたり、正しく理解されていたいようです。皮膚心身症とは、その発症や経過にストレスが大きく影響している皮膚の病気です。つまり、心療皮膚科医は、皮膚症状の治療だけでなく、心のケアまでする皮膚科医ということになります。では、心身症の人はストレスに弱いから病気になったのかと思われがちですが、それも少し違っています。心身症は、ストレスに強くあろうとがまんして、ストレ
スを押し殺して、頑張る人がなる病気なのです。大人のアトピー性皮膚炎やニキビなどの、慢性的、難治性の皮膚疾患の場合、皮膚症状を治療するだけでは、たかたか改善されたいものが多いのです。ストレスによって誘発される嗜癖的播破行動が、皮膚疾患の発症、悪化、再発に深く関係しているためです。しかし、皮膚疾患を心身症として診る医療機関がきわめて少ないのが現状です。本書によって、かゆみを伴う皮膚疾患は、ストレスの影響を受けやすく、心身症としてとらえられることを理解していただけたかと思います。かゆくて眠れないといって皮膚科を訪れる人は少なくありません。よく話をうかがってみると、実は、家庭や仕事の悩みで苦しんでいることが多いのです。私たち日本人は、勤勉でひたすら頑張るところがあります。しかし、疲れたらちょっと休んで、落ち込んだとさには弱音を吐いていいのです。そして、人にやさしい言葉をかけてもらえるといったことで、また元気を取り戻せるのです。時には、「疲れているのかな?」という気持ちに目を向けて、「あれもやらなくちゃ、これもやらなくちゃー」と自分を責め立てていることをひとつでも減らしてみてはいかがでしょう。

 

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